・危険物とは
消防法では火災の危険性が大きい物質のことを危険物と定義しており、それぞれの貯蔵方法や取り扱いなどに関して個別に定め規制しています。
序論の部分で記述した通り危険物の分類は6種類、乙種の種別と同じ分け方をしています。危険物に扱われるものは個体と液体のみであり気体に関しては含まれていません。これも消防法に定められています。またこれらは単一の元素からのみ出来ている単体と2種類以上の元素からなる化合物の両方があります。
- 第一類危険物 酸化性個体
性質・特徴は大きく分けて7つあります
1)分子構造中に酸素を含んでいる、つまり混合物である。
2)過熱、摩擦、衝撃、硝酸などの酸との反応、水との反応により酸素が分解され放出し、周囲の可燃物の燃焼を促進する。(酸化剤として働く)
3)酸化剤として作用するので自身は燃焼しない
4)比重が1より大きい
5)多くのものが無色の結晶か白色の粉末
6)多くのものが水に溶ける
7)潮解性を持つものがある
具体的な品名についてはすべて覚える必用はありません。(きりがないので)
なので主に性質を確実に覚えておきましょう
それではここから品名ごとに仕分けをして具体的に学んでいきましょう。
第一類危険物はこれらの5項目の品名に分けて学んでいくといいでしょう
塩素酸塩類・過塩素酸塩類
塩素酸塩類とはHClO₃(塩素酸)の水素原子が金属や他の陽イオン(プラスのイオン)と置き換わった形の化合物の総称を言います。
これらは不安定な物質であり強酸の添加や衝撃、加熱、摩擦などにより爆発を引き起こすことがあります。また酸化されやすい物質と混同した時は少しの刺激でも爆発しやすくなることはよく覚えておきましょう。
潮解性を持つものもあります。そういったものは湿気を帯びないように注意しなければなりません。
それではさらに具体的に見ていきましょう。今回知っておくべきものは4つのみです。気張らずいきましょう。
1)塩素酸カリウム(KClO₃)
形状・性質 | ・無色、光沢のある結晶 ・水に溶けにくいが熱水には溶ける ・強力な酸化剤である ・加熱すると訳400℃で分解をはじめさらに過熱すると酸素を発生する ・比重は2.3 |
危険性 | ・硫黄や赤りんと混合するとわずかな刺激でも爆発の危険がある ・衝撃、摩擦、加熱または強酸との接触により爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・容器を密閉し、歓喜の良い冷暗所に保管する ・衝撃、摩擦、加熱を避け分解を促す性質のある薬品との接触を避ける |
消化方法 | ・注水 (分解温度以下に冷却できれば他でも可) |
2)塩素酸ナトリウム(NaClO₃)
形状・性質 | ・無色の結晶 ・水にもアルコールにもよく溶ける ・潮解性がある ・加熱すると約300℃で分解をはじめ、酸素を発生する ・比重は2.5 |
危険性 | ・潮解して木や紙などにしみこみ、乾燥することで衝撃、加熱、摩擦 によって爆発の危険性がある ・硫黄や赤りんと混合するとわずかな刺激でも爆発の危険がある ・衝撃、摩擦、加熱または強酸との接触により爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・潮解性があるために水分や空気との接触を避ける ・容器を密閉し、歓喜の良い冷暗所に保管する ・衝撃、摩擦、加熱を避け分解を促す性質のある薬品との接触を避ける |
消化方法 | ・注水 (分解温度以下に冷却できれば他でも可) |
3)塩素酸アンモニウム(NH₄ClO₃)
形状・性質 | ・無色の結晶 ・水には溶けやすいがアルコールに溶けにくい ・100℃以上加熱すると分解して爆発する危険性がある |
危険性 | ・非常に不安定な物質で常温(20℃)でも爆発することがある ・硫黄や赤りんと混合するとわずかな刺激でも爆発の危険がある ・衝撃、摩擦、加熱または強酸との接触により爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・爆発性があるため長期間の保存を避ける ・容器を密閉し、歓喜の良い冷暗所に保管する ・衝撃、摩擦、加熱を避け分解を促す性質のある薬品との接触を避ける |
消化方法 | ・注水 (分解温度以下に冷却できれば他でも可) |
4)塩素酸バリウム(Ba(ClO₃))
形状・性質 | ・無色の粉末 ・水には溶けにくいがエタノール、塩酸、アセトンなどには溶けにくい ・100℃以上に加熱すると分解して爆発する場合がある |
危険性 | ・急激に加熱、または衝撃を加えると爆発する |
火災予防法 | ・容器を密閉し、歓喜の良い冷暗所に保管する ・衝撃、摩擦、加熱を避け分解を促す性質のある薬品との接触を避ける |
消化方法 | ・注水 (分解温度以下に冷却できれば他でも可) |
ではこれらがわかった上で次は過塩素酸塩類を学んでいきましょう。
過塩素酸塩類は過塩素酸(HClO₄)の水素原子が金属や他のイオンと置き換わった化合物です。ただ爆発の危険性はこっちにもあります。強酸化剤ではありますが塩素酸塩類と比べると安なぜかはなぜかをお話しすると大学でもやるような難しい内容になります。今はこういうものと思っておきましょう。
より安定なものほど反応はしにくくなるので危険性は低くなります。
よって危険性は塩素酸塩類>過塩素酸塩類といった具合になります。
それではこちらも具体的に見ていきましょう。今回は3つだけです。
1)過塩素酸カリウム(KClO₄)
形状・性質 | ・無色の結晶 ・水に溶けにくいが熱水には溶ける ・アルコールにもあまり溶けない ・約400℃で分解をはじめ酸素を発生する ・比重が2.5 |
危険性 | ・加熱、衝撃による爆発の危険性がある (塩素酸カリウムよりは低い) ・可燃物との混合や強酸との接触による爆発の危険性は塩素酸カリウム ほどはないが存在する |
火災予防法 | ・容器を密閉し、歓喜の良い冷暗所に保管する ・衝撃、摩擦、加熱を避け分解を促す性質のある薬品との接触を避ける |
消化方法 | ・注水 (分解温度以下に冷却できれば他でも可) |
2)過塩素酸ナトリウム(NaClO₄)
形状・性質 | ・水によく溶け潮解性を持つ ・アルコールやアセトンにもよく溶ける ・200℃以上に加熱すると分解し酸素を発生する ・比重は2.0 |
危険性 | ・硫黄や赤りんと混合するとわずかな刺激でも爆発の危険がある ・衝撃、摩擦、加熱または強酸との接触により爆発の危険性がある ・潮解して木や紙などにしみこみ、乾燥することで衝撃、加熱、摩擦 によって爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・容器を密閉し、歓喜の良い冷暗所に保管する ・衝撃、摩擦、加熱を避け分解を促す性質のある薬品との接触を避ける |
消化方法 | ・注水 (分解温度以下に冷却できれば他でも可) |
3)過塩素酸アンモニウム(NH₄ClO₄)
形状・性質 | ・無色の結晶 ・水、エタノール、アセトンには溶けるがエーテルには溶けない ・潮解性を持たない ・加熱すると150℃で分解をはじめ酸素を発生する ・400℃に達すると急激に分解し、発火することがある |
危険性 | ・分解するときに多量の有毒ガスを発生するため塩素酸カリウム と比べて危険性が大きい |
火災予防法 | ・容器を密閉し、歓喜の良い冷暗所に保管する ・衝撃、摩擦、加熱を避け分解を促す性質のある薬品との接触を避ける |
消化方法 | ・注水 (分解温度以下に冷却できれば他でも可) |
このセクションでは基本的に基準となる物質がありました。
改めて見てもらえるとわかると思いますが塩素酸カリウムとの比較で危険性を比べていたり同じ性質をもつものが多かったりします。またそこからの派生もあります。
ですので塩素酸カリウムを基準に覚えていくと楽かもしれません
それが済んだら次亜塩素酸塩類・臭素酸塩類・硝酸塩類に移っていきましょう。
亜塩素酸塩類・臭素酸塩類・硝酸塩類
- 亜塩素酸(HClO₂)の水素原子が金属または他の陽イオンと置き換わった形の化合物を亜塩素酸塩といいその塩の総称を亜塩素酸塩類といいます。金属塩になる金属はナトリウム、カリウム、銅鉛などの塩が指定される危険物となっています。
- 臭素酸(HBrO₃)の水素原子が金属または陽イオンと置き換わった化合物を臭素酸塩といいこの塩の少々を臭素酸塩類といいます。臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムなどが危険物に指定されています。
- 硝酸塩類は硝酸の水素原子が金属や陽イオンに置き換わったものの総称です。共通する特徴としていずれも水によく溶け、加熱すると分解して酸素を発生するという特徴があります。こちらは3つほど個別に記憶しておきましょう。
1)硝酸カリウム(KNO₃)
形状・性質 | ・無色の結晶 ・水によく溶けるが吸湿性はない ・400℃で分解し酸素を発生する ・黒色火薬の原料として用いられる ・比重は2.1で融点は339℃ある |
危険性 | ・単独でも加熱により酸素を発生する ・可燃物や有機物と混合すると加熱、摩擦、衝撃に より爆発する危険性がある |
火災予防法 | ・可燃物、有機物と隔離して異物の混入を防ぐ ・容器を密閉する ・加熱、摩擦、衝撃を避ける |
消化方法 | ・注水 |
2)硝酸ナトリウム(NaNO₃)
形状・性質 | ・無色の結晶 ・水によく溶け、潮解性がある ・380℃で分解し酸素を発生する ・比重が2.25で融点が306.8℃ある |
危険性 | ・単独でも加熱により酸素を発生する ・可燃物や有機物と混合すると加熱、摩擦、衝撃に より爆発する危険性がある |
火災予防法 | ・可燃物、有機物と隔離して異物の混入を防ぐ ・容器を密閉する ・加熱、摩擦、衝撃を避ける |
消化方法 | ・注水 |
硝酸カリウムよりも反応性は低いが危険性はある。
3)硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)
形状・性質 | ・無色の結晶、結晶性粉末のどちらか ・水に溶けるときは吸熱反応である ・吸湿性、潮解性どちらもある ・210℃で分解し水と有毒な亜酸化窒素(一酸化二窒素)をを生じ、 さらに過熱することで爆発的に分解が起こり窒素と酸素を発生させる |
危険性 | ・単独でも急激な加熱や衝撃により分解し爆発することがある。 ・可燃物、有機物、金属粉と混合すると危険度がさらに上がる |
火災予防法 | ・可燃物、有機物と隔離して異物の混入を防ぐ ・容器を密閉する ・加熱、摩擦、衝撃を避ける |
消化方法 | ・注水 |
吸熱反応は発熱せずに周りから熱を奪う反応のことです。
無機過酸化物
この項目を学ぶにはまず無機物と有機物とは何かを知っておかなければなりません。
簡単に言うと炭素原子を主として含んでいるかどうかが有機物と無機物の違いです。ただしCO₂などのものは有機物でなく無機物の扱いである。エチレンやメタンなどの石油からとれる物質やグルコースなどのものが有機物と言われ炭素骨格を持つものです。
この無機化合物のうち過酸化物イオンを含むもののことを無機過酸化物といいます。さらに無機過酸化物を細分化するとアルカリ金属の過酸化物とアルカリ土類金属の過酸化物に分かれます。ではこれらの特徴を見ていきましょう
1)アルカリ金属の過酸化物
アルカリ金属は元素の周期表の一番左の行にある水素を除く元素のことである。金属塩としてよく出てくるのはナトリウムやカリウムであり今回もこの二つについて見ていこうと思います。
①過酸化カリウム (K₂O₂)
形状・性質 | ・オレンジ色の粉末 ・加熱すると融点以上の温度で分解し酸素を発生する ・水と反応して熱と酸素を発生し、水酸化カリウムを生じる ・吸湿性が強く潮解性がある ・比重が2.0あり融点が490℃ある |
危険性 | ・大量の水と反応すると爆発する危険性がある ・皮膚を腐食する ・可燃物や有機物などの酸化されやすい物質と混合すると衝撃、加熱等 により発火や爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・水分を混入させないため容器を密閉する ・可燃物や有機物などから隔離する ・加熱、衝撃、摩擦を避ける |
消化方法 | ・乾燥砂などを使用する (水を加えると反応してしまうので注水は厳禁) |
②過酸化ナトリウム(Na₂O₂)
形状・性質 | ・黄白色の粉末(純粋なものは白色) ・加熱すると660℃で分解し酸素を発生する ・水と反応して熱と酸素を発生し水酸化ナトリウムを生じる ・吸湿性が高い ・比重が2.9あり融点は460℃ある |
危険性 | ・大量の水と反応すると爆発する危険性がある ・皮膚を腐食する ・可燃物や有機物などの酸化されやすい物質と混合すると衝撃、加熱等 により発火や爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・水分を混入させないため容器を密閉する ・可燃物や有機物などから隔離する ・加熱、衝撃、摩擦を避ける |
消化方法 | ・乾燥砂などを使用する (水を加えると反応してしまうので注水は厳禁) |
2)アルカリ土類金属の過酸化物
アルカリ土類金属は周期表の左から二行目のアルカリ金属の隣にあるものでマグネシウムやカルシウム、バリウムがよく出てきます。こちらもこれらを詳しく見ていきましょう。
①過酸化カルシウム(CaO₂)
形状・性質 | ・無色の粉末(水和物は無色の結晶) ・水に溶けにくいが酸には溶ける ・アルコール、ジエチルエーテル等に溶けない ・加熱すると275℃以上で分解し酸素を発生する |
危険性 | ・275℃以上に加熱すると爆発的に分解する ・濃度の薄い酸(希酸)に溶けて過酸化水素を発生する |
火災予防法 | ・加熱を避ける ・希酸との接触を避ける ・容器を密閉する |
消化方法 | ・乾燥砂などを使用する (注水はなるべく避ける) |
②過酸化バリウム(BaO₂)
形状・性質 | ・灰白色の粉末 ・水に溶けにくく漂白作用がある ・加熱すると840℃で酸化バリウムに分解して酸素を発生する ・比重は4.96であり融点は450℃ある |
危険性 | ・酸との反応で過酸化水素を発生する ・熱湯との反応で酸素を発生する |
火災予防法 | ・酸と隔離する ・容器を密閉する ・加熱、摩擦等を避ける |
消化方法 | ・乾燥砂などを使用する (注水はなるべく避ける) |
過酸化バリウムはアルカリ土類金属の過酸化物の中で最も安定している物質とされています。
この中で安定しているだけで酸化されやすい物質などと混合したら爆発することもあるので注意が必要です。
③過酸化マグネシウム(MgO₂)
形状・性質 | ・無色の粉末 ・加熱すると酸素を発生し酸化マグネシウムになる |
危険性 | ・酸に溶けて過酸化水素を発生する ・水と反応して酸素を発生する ・有機物などと混同すると加熱、摩擦により爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・酸と隔離する ・容器を密閉する ・加熱、摩擦等を避ける |
消化方法 | ・乾燥砂などを使用する (注水はなるべく避ける) |
アルカリ土類金属などの過酸化物も加熱すると分解して酸素を発生します。また酸を加えると過酸化水素を生じるという特徴もあります。
水との反応性はアルカリ金属と比べると低くはなりますが消化に際しては反応の危険性を少しでも下げるために注水はなるべく避けたほうがいいでしょう。ですので消化は乾燥砂で行うという認識で問題ないと思います。
ヨウ素酸塩類・過マンガン酸塩類・重クロム酸塩類
ヨウ素酸(HIO₃)の水素原子が金属または陽イオンと置き換わった形のものをヨウ素酸塩といいそれらの塩の総称をヨウ素酸塩類といいます。ヨウ素酸塩類は他ハロゲン化酸塩類よりも安定な状態にある物質ですが可燃物を混合し、加熱を行うと爆発します。注意しておきましょう。では重要なものが2つありますのでそれぞれ覚えましょう。
1)ヨウ素酸カリウム(KIO₃)
形状・性質 | ・無色の結晶 ・水によく溶けるがエタノールに溶けない ・加熱により分解して酸素を発生させる ・比重が3.9あり融点は560℃と高い |
危険性 | ・可燃物を混合して加熱すると爆発する危険性がある |
火災予防法 | ・加熱を避ける ・可燃物の混入を避ける ・容器を密閉する |
消化方法 | ・注水 |
2)ヨウ素酸ナトリウム(NaIO₃)
形状・性質 | ・無色の結晶 ・水によく溶けるがエタノールにはとけない ・加熱により分解して酸素を発生する ・比重が4.3 |
危険性 | ・可燃物を混合して加熱すると爆発する危険性がある |
火災予防法 | ・加熱を避ける ・可燃物の混入を避ける ・容器を密閉する |
消化方法 | ・注水 |
過マンガン酸塩類は過マンガン酸(HMんO₄)の水素原子が金属イオンまたは他の陽イオンと置き換わった形の化合物です。他の物品と比べて危険性は少ないが強酸化剤であるという特徴があります。またこの強酸化剤としての特徴から派生して漂白剤や殺菌消毒剤、消臭剤としても用いられるので合わせて知っておくといいでしょう。ここでも2つ覚えていきましょう。
1)過マンガン酸カリウム(KMnO₄)
形状・性質 | ・赤褐色で金属光沢のある結晶 ・水によく溶け、その水溶液は濃紫色 ・約200℃で分解し酸素を発生する ・殺菌剤として用いられる ・比重は2.7で融点は240℃ある |
危険性 | ・硫酸を加えると爆発する危険性がある ・可燃物や有機物と混合すると加熱、摩擦、衝撃 などにより爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・加熱することや可燃物の混入を避ける ・容器を密閉する |
消化方法 | ・注水 |
過マンガン酸カリウムには酸化力と殺菌作用があるため漂白剤や殺菌消毒剤、消臭剤、染料などとして用いられています。
2)過マンガン酸ナトリウム(NaMnO₄・3H₂O)
形状・性質 | ・赤紫色の粉末 ・水に溶けやすく潮解性が高い ・170℃で分解し酸素を発生する ・比重は2.5 |
危険性 | ・硫酸を加えると爆発する危険性がある ・可燃物や有機物と混合すると加熱、摩擦、衝撃 などにより爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・加熱することや可燃物の混入を避ける ・容器を密閉する |
消化方法 | ・注水 |
NaMnO₄・3H₂Oの3H₂Oの部分は3水和物であることを表します。水和物とは水分子を含んだ物質のことです。
重クロム酸(H₂Cr₂O₇)の水素原子が金属または他の陽イオンと置き換わった形の化合物が重クロム
酸塩といいます。これも2つです頑張りましょう。
1)重クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)
形状・性質 | ・橙赤色の結晶 ・水に溶けるがエタノールには溶けない ・500℃以上で分解し酸素を発生する ・比重は2.7であり融点は398℃あります |
危険性 | ・強力な酸化剤であるので有機物や還元剤と混合すると激しく 反応し発火することで爆発を引き起こすことがある |
火災予防法 | ・有機物と隔離する ・容器を密閉する ・加熱、衝撃、摩擦を避ける |
消化方法 | ・注水 |
2)重クロム酸アンモニウム((NH₄)₂Cr₂O₇)
形状・性質 | ・橙黄色の結晶 ・水にもエタノールにもよく溶ける ・加熱すると185℃で分解し窒素を発生する ・比重は2.2で融点は185℃である |
危険性 | ・可燃物と混合すると加熱、衝撃、摩擦などにより発火または 爆発を引き起こすことがある |
火災予防法 | ・有機物と隔離する ・容器を密閉する ・加熱、衝撃、摩擦を避ける |
消化方法 | ・注水 |
ほかの第一類危険物は加熱により酸素を発生するが重クロム酸アンモニウムの場合は加熱により窒素を発生することは要注意事項です。
政令指定物
では次は第一類危険物最後の項目である政令指定物です
これまで紹介してきた第一類危険物以外で指定されている第一類危険物は政令で指定されている9種類が存在します。政令指定物とは政府が個別で作成したルールに則り規制されている物品になります。
品名 | 該当する物品 |
過ヨウ素酸塩類 | 過ヨウ素酸ナトリウム |
過ヨウ素酸 | メタ化ヨウ素酸 |
クロム、鉛、ヨウ素の酸化物 | 三酸化クロム、二酸化鉛、五酸化二ヨウ素 |
亜硝酸塩類 | 亜硝酸ナトリウム |
次亜塩素酸塩類 | 次亜塩素酸カルシウム |
塩素化イソシアヌル酸 | 三塩素化イソシアヌル酸 |
ぺルオキソ二硫酸塩類 | ペルオキソ二硫酸カリウム |
ペルオキソほう酸塩類 | ペルオキソほう酸アンモニウム |
炭酸ナトリウム過酸化水素付加物 | 炭酸ナトリウム過酸化水素付加物 |
この中から3つ重要なものをピックアップして紹介していきます
1)三酸化クロム、無水クロム (CrO₃)
形状・性質 | ・暗赤色の針状結晶 ・水および薄いエタノールに溶ける ・潮解性が強い ・約250℃で分解し酸素を発生させる ・比重が2.7と重く融点も196℃と高い |
危険性 | ・有毒であり皮膚を腐食させる ・水を加えることで腐食性の強い酸となる ・アルコール、ジエチルエーテルなどとの 接触で爆発的に発火する危険性がある |
火災予防法 | ・加熱しない ・可燃物、アルコールなどとの接触を避ける ・金属製容器での保存時は鉛などの不導体を 形成する金属での内張をする |
消化方法 | ・注水 |
2)二酸化鉛 (PbO₂)
形状・性質 | ・黒褐色の粉末 ・水、アルコールに溶けない ・酸、アルカリ両方に溶ける ・金属並みの電導度を持つ電気の良導体 ・比重が9.4と重く融点は290℃ある |
危険性 | ・毒性が強い ・日光や加熱により分解し酸素を発生する ・塩基とともに熱すると塩素を発生する |
火災予防法 | ・直射日光、加熱を避ける |
消化方法 | ・注水 |
二酸化鉛は日光に対して不安定であるため光により分解反応をしまします。
3)次亜塩素酸カルシウム Ca(ClO)₂・3H₂O
形状・性質 | ・白色の粉末 ・潮解性がある ・水と反応して塩化水素を発生する ・150℃以上で分解し酸素を発生する ・酸により分解する ・比重が2.4あり融点は100℃ ・空気中の水分と二酸化炭素により次亜塩素酸を 生じるため強烈な塩素臭を発生させる |
危険性 | ・光や熱によって分解が急激に進む ・可燃物、還元剤、アンモニアなどの塩類 との混合物は爆発の危険性がある |
火災予防法 | ・加熱、衝撃、摩擦を避ける ・異物の混入を防ぐ ・容器を密閉する |
消化方法 | ・注水 |
次亜塩素酸塩類は次亜塩素酸(HClO)の水素原子が金属または陽イオンと置き換わった形の化合物の総称です。この塩類は殺菌作用があり消毒に用いられるという特徴があります。
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